高校1年のピッチでこの先のことを考えているといろいろ間に合いませんよ、というお話です。
数I・Aは内容が薄すぎる
高校数学の中心を占める「三角関数」「指数・対数関数」「微分積分」「数列」「ベクトル」は、現行カリキュラムでは全て数II・Bに集中しています。数I・Aは何をしているのかというと、半分くらい中学の復習のようなものです。数IIIも含めた高校数学全体を10とした場合、数I・Aの分量は2か3程度でしょう。一貫校はもちろん、高校入試を経験した生徒に対しても数I・Aに1年かけるわけにはいきませんから、高校1年の終盤から数II・Bを扱っている学校は少なくありません。
高校生ともなれば問題演習は基本的に自宅で(数学だけでも毎日1時間以上)行うしかないのですが、高校に入ってすぐの内容が中学と代り映えしないのですから、自宅学習の習慣は着きません。この意識のまま数II・Bが始まりますと、ちょっとした躓きからわからなくなり、余計に勉強から遠ざかっていきます。人によっては、不安を払拭するかのように部活熱心になってみたりもします。
数II・Bのどこかで躓いたときに、躓いたことを自覚して対策を立てて行動するまでのタイムラグの間にも、また別のことで躓く可能性があります。こうなると全てが後手後手になってしまいます。理想を言えば、軽い数I・Aで余裕がある間に、先んじて数II・Bを勉強しておくことです。すでに、数II・Bが手ごわいと感じているなら、早期にアクションを取った方がよいと思われます。
理科基礎はどうなっているか
化学基礎や物理基礎といった科目も、同じような傾向があります。基礎のつかない化学や物理を10とするなら○○基礎の分量は3から4程度といったところでしょうか。
高校1年から履修することの多い化学はまだマシでしょう。3年かけて扱う学校も多いですから、全内容が終わらないということは考えにくいです。物理基礎が高校2年ですと、結構悲惨なことになります。基礎のつかない物理を履修するのは理系ですから、高校3年で残りの6から7くらい頑張ればいいのですが、高校3年の10月くらいには全部終わっていないといけません。12月からセンター対策に時間を取られますし、総合問題の演習にも時間が必要です。量が2倍弱になって期間は半分ですから、これはもう間に合うとは思えません。
やはり、苦しくなる前から先取りの勉強をしておいて、学校が復習になるくらいが理想です。
任せて安心?
学校で扱う内容を10とすれば、最高レベルの入試で必要なコトは14から16程度でしょう。これを高校3年の10月(数学などはできれば夏休み前までに)終わらせておかないと、入試問題の演習ができません。英語や国語といった、学年が関係ない科目に至っては高校2年の間に仕上げておくぐらいの気概で臨みましょう。
高校2年の秋くらいまでに部活などを切り上げ、それから入試モードにすれば間に合っていたのは、もはや過去の話です。週に数日、息抜きとしての部活は否定しませんが、高校1年から自分で考えて受験の準備していかないと危ない時代です。
どこかで「○○の言うことを聞いていれば大丈夫」と力説されたらこれは要注意です。経験上、このセリフを言う人は全然間に合わせていません。卒業生の証言やデータを分析し、自分にとって最適なプランを用意しましょう。誰もあなたの人生の責任を取ってはくれません。
一方で、準備は早ければ早い方がよいのか、というとコレも難しい面があります。飛び級で説明を理解させることは簡単です。しかし、知識を運用して論理を組み立てるにはある程度の精神年齢が必要です。勉強さえしていれば試験で得点できるというわけではなく、人生のいろいろな経験を積んでおくことも(試験のためだけでなく、若い時ほど)大切です。また、受験対策が長期になるとやはりダレてきます。早くに始めたものの、実力試験で結果が出ていないのであれば、やはり計画を見直しましょう。
結局のところ、最終局面を想定しながら、日々計画を立てては修正・調整をしていく能力が求められます。言われたことをがむしゃらにやればそれなりに結果が出ていた時代が懐かしく感じられます。