高校はそもそも幅広い教養を身につける場所ですから、さまざまなものの見方・考え方を習得することになります。ひとつの話題に対して多面的に分析・紹介し、いくつもの手法を聞くことになるでしょう。知的好奇心が旺盛な生徒にとっては楽しい状況といえます。
一方の大学入試では、大学の講義についていくだけの学力があるかを測定します。知識や技能を運用して合格最低点を越えなくてはなりません。
もっとも、大学の講義についていくために必要な知識や技能が何であるのか、高校生には判別できないのは当然のことです。ある科目で習うことをどのように他の科目で利用しているかといった話題は、各科目の先生でも目が届かないことがあります。そのため我々-受験産業-が存在しているわけです。
さて、高校の授業と大学入試で「数学」や「物理」のように同じ科目名のものがあります。また、学校指定の問題集には大学入試の過去問も掲載されています。
だからといって、本来の目的が異なるのですから高校で扱う解法と入試用の解法は同じではありません。
試験時間内に高得点を狙うには『幅広い状況で通用する解法』『計算の手間や時間をかけずに正解できる解法』を繰り返し練習して身につけておかねばなりません。
『ある問題だけは綺麗に解ける方法』は聞いている分には楽しめるでしょうが、その方法を使う機会は二度と来ないかもしれません。『計算力を前提とする方法』を知ったところで、どんなにがんばっても計算ミスは確実に発生します。
かつて、当教室で物理だけ受講している生徒がいまして、よくできる生徒なのですが高3の秋にどうしてもセンター数学が時間内に解き終わらないと相談を受けました。頭の中の解法を絞るように指示したところ、はじめは怪訝な顔をしていたもののすぐに改善しました。知っていることが多すぎて、試験場で解法を取捨選択しているうちに時間だけが過ぎてしまっていたのです。知識を減らす必要はありませんが、試験場で使う解法は少なくしておかないといけません。
塾に在籍しているからには、入試を突破することを目的に勉強しているハズなのに、珍しい話が聞けて楽しかったかどうかを気にしていたり、出題されるとは思えない設定を妄想して苦悶しているという状況をしばしば見かけます。
真面目に勉強していれば、どこにでも自動的に合格できるわけではありません。得点できるように、合格するように勉強しないとハイレベルの戦いでは勝てません。理由は単純で、上位層には『幅広い状況で通用する解法』や『手間や時間がかからずに正解できる解法』を学んでくる人たちがある程度の割合で存在するためです。
勘違いしてはいけないことですが、高校の勉強は大切です。
高校の教養も身についていないようでは、この先の教育を受ける資格はありません。
入試の勉強ばかりしているのでは、人生も彩りの乏しいものとなるでしょう。
しかし、入試を突破するためには、どうやったら得点が増えるか常に考えながら勉強していく姿勢が求められます。
努力はしているつもりでも、自分に何が足りないのか・どこをどう改善したらいいのかわからないのであれば是非相談してみてください。